三重
ポリーン。
「まあ素敵、秋の匂いね」
ベランダから出た彼女に、小さく頷いた。
枯葉の舞う12月の23日、クリスマスを目前にした午後。3ヶ月ぶりに外へ出た彼女の一言。それは"毎日の当然"として外へ出ている彼が、決して理解することはできない……感慨が含まれていた。当然、汲み取ることなどできないが。
ここへ届けられたのは2ヶ月前。旗から見ると、あまりにも突然の出来事に驚くことだろう。愛する妻子との別れを手短に済ませ、荷物をまとめる彼の姿は実に洗練されている。
「今まで何度も何度も繰り返されてきた。今回も同じ事さ。僕にとっては。」
口に出さぬその思いを知ってか知らずか、いつもより一つ荷物が多い。彼の子供が"実に手慣れている"いたずらで、大切にしている(はず、だ)赤色のキーホルダーを鞄に忍び込ませていたのだ。シャツにくるまれた姿で金属探知機に引っかかったそれは、彼の胸ポケットに仕舞われている。
――封筒は、語らない。
多くの場を経験し、導き出した彼の正解。”使われている身"としては非常に都合が良い正解だ。それは求められている形ではないことも、彼は知っている。
「つまらない」
小さく吐き捨て、不機嫌な表情を隠さず彼に向ける彼女。彼は形だけの申し訳なさを表情に表す。案の定、彼女は目線を外へ戻した。
クリスマスが今年もやってくる。
クリスマスダアアアアアアアア!!!!!!!111
クリスマスの25日、パーティーが宿舎にやってくる。
流石にこの冷え込む冬、コタツがあるといえその辺に寝ろよ!だなんていうのは過酷やし布団を用意しなきゃな……。
(見栄をはらなきゃ)いかんでしょ。部屋だって「いつも綺麗にしてます」風味に掃除するし、空っぽになってから暫く買ってないシャンプーだって買うつもりさ!(ひどいやつやな)
いやボディーソープだけでいけるからねこれ。そういうやつだからね。
別にお金が勿体ないとか、そんなんじゃないからね。
歯ブラシだってなんかこう綺麗なの使ってるんだーみたいに新しいの置いてるけど、いつもだからね。
そういってベットの下から来客用布団と毛布を取り出したが、凄まじい匂いに慌てふためく。
すげー匂いだ!いやなんだろう僕は男臭くない愛され体質として有名なんだけど?!
使ってる柔軟剤がフォローしてる説があるけど俺は決して臭くないんだけど??!?!
こんな体育会系部室のスメルなんて……。ホモの匂いフェチなら嗅いだだけで絶頂射精まちがいなし!
しかしうちにくるのは多分ホモでも匂いフェチではないので、綺麗にしないと……。
今布団乾燥機がゴオオオオオオオオオオオオオってるけど多分だめやし、リセッシュかなんか買ってこないとな……。
メーリメリメリークリスマスだーかーらー!サンタクロースニネッガアアアアイヲオオオオオオオ!!!!!!1フンフフーン