露天風呂

新しいテキストドキュメント

僕は、ライトウェイトスポーツカーが好きだ。

大抵こういう好みといえば、何故かと言われ熱く語れるモノだと思う。

しかしなんだろう、僕はライトウェイトスポーツに対して熱く語れる持論を持ち合わせていない。

大排気量エンジンや強烈なターボパワーで重く頑丈な車体を加速させるっていうのも、嫌いなわけじゃあないよ!

実際問題、僕が爆音轟かすハイパワーターボ車に乗っても似合わないだろう。

考えてもみて。

馬鹿でかいウィング、拳が入る程のツインマフラー、19インチのタイヤを履いたゴッテゴテな威圧感たっぷり真っ黒ランエボ

「うわーいかにも好きそうな人だなあ」と貴方は若いお兄ちゃんか、小奇麗なオッチャンを思い浮かべるだろう。

そのランエボがコンビニに入った。自分もちょうどタバコが切れていた。横にとめて見てみよう。

そのガラスから見えるのはフルバケットシートに座る身長156cmの男の姿。

その車からコーラを片手に降りてくる姿。

もしかするとドアガラスから頭がちょっと出ているだけで、最初は助手席に乗っている子供かと思うことであろう。

それがわたしです。

自分で考えても似合わん。降りるときにつまづいてコケてそう。

前に同じようなことを人に言った時には

「乗って行く?って声かけられても笑うだけで乗らん」

と真顔で言われてしまった。お前に言われんでもわかっとる。それでも聞く。

ただただ似合わないことを自覚しているだけなのだ。諦めにも近いこの感情。

好きなら気にすることはないじゃあないか、と言われそうだけれどそうじゃない。それは裏切りになる。

僕にとって車とはイメージであり、ドライバーもそのイメージを作り上げる重要な要素。

フェラーリからジャージのメタボオッサンが降りてくると失望するし、ワゴンRを運転するカッコイイお兄さんは惜しいなあと思う。

フェラーリはかっこいいオジサンかお兄さんに運転して欲しいし、ワゴンRはプーさん好きなおばちゃんがよく似合う。

例えるならば、大好きな二次キャラの彼氏が自分だったらと思うことに近い。

由夢ほどの女の子が僕の彼女でいいのか。望んでいないといえば嘘になる。

しかしそれは待ち望んでいた結果とはいえない。きっと彼女はもっといい幸せをつかめる。幸せになってくれと涙を飲んで東横線の最終で横須賀の海にいくであろう。

そして風邪をひく。まだ2月だというのに格好付けるからこうなる。

だからこそ許せない。ランサーエボリューションという車から僕が降りてくるのは許せない。

別にランエボじゃなくてもインプレッサでもいいし、ポルシェ911でもいい。

僕が乗る車じゃあない。

現実的な問題としてペダルに足が届かないということもある。足が短いのだ。

足が短いから余計ダメだ。大体シートポジションを一番前にして乗る車か?前にして届くのか?

中学生の時に座った360モデナは足が届かなかった。恐らく無理だろう。

F1ドライバーは低身長で軽量なのが有利と言われているのに、この世界の車は低身長に厳しいのだ。

私こそフェラーリに乗るべき人間なのだと声高らかにモンツァのファクトリーで主張しながら暴れ回り、着座位置でペダルが完璧になるように新型のラ・フェラーリを全リコールさせてやりたい。

モータースポーツ不人気な世界の流れには抗えそうにないからやめておく。

しかしライトウェイトスポーツカーは違う。ロードスターは違う。

自分で言うことでもないと思うけれど、似合っているような気がする。

だから好きなんだろう。

f:id:roten:20140216205355j:plain

 

ホンダのS800。軽自動車としてまたリメイクされる事が決定している旧車。国産ライトウェイトスポーツの兄貴。

同じスポーツカーでもライトウェイトになるだけで違う。同じ旧車でもトヨタ2000GTなんか恐れ多い。

色恋沙汰に例えれば、高嶺の花と思われていた女性が同じ趣味だったというところところ。

一気に敷居は下がり「あれ?いけるんじゃね?」とか思うんじゃないかと思う。思ったことはないけどシュミレーションでは思うんじゃないかと思う。

それはライトウェイトスポーツのハイエンド、エリーゼでも同じことだろう。

エリーゼならコーラ片手にチビが降りてきても、コケずにローソンへ行けそうな気がする。

エリーゼの開発者が聞いたら呆れてものも言えないかもしれないけれど。

しかし、賢明な読者なら既にお気づきであろう。

由夢が僕と同じ趣味で彼女だったらどうなるのか?という質問がくるとこの話は破綻してしまうのだ。

いけるんじゃね?とは思うだろうけれどいやそれでいいのかと思い悩み、答えは出ずせぷてんばぁ。

そもそもいけるんじゃね?と思った所で行けるとは限らない。恐らく行けない。

お金がないと新幹線にも女の子にも乗れない世の中のシステム。

東横線の最終で横須賀の海に行けない僕は、山陽本線の最終で福山の海にいくんだ。

風邪は変わらない。いやひかないかな……釣り竿持ってるだろうしな……。

だから最初に言ったんだ。熱く語れる持論なんかないって。

なんとなく好きなんだ。ええじゃないかええじゃないかヨーイヨーイヨーイヨーイ。

 

 


And I Love Car 奥田民生 - YouTube